先月半ばから冷え込み始め、本格的な冬の到来を感じます。
この時期食べたいものは色々ありますが、やっぱりあたたまる鍋料理がうれしく思います。
最近の鍋料理は新しいモノ好きな日本人を表すように、毎年のように違う味が出てきますね。
定番になったもつ鍋や豆乳鍋•キムチ鍋などは、餃子やロールキャベツをいれて彩りをそえています。トマトやレモン・パクチーなどの様々な食材が使われたものがあり、トムヤンクン鍋など海外の料理を取り入れたりと、おどろきや流行を感じます。また、鍋の素のパックや一人前のキューブになったものなど、手軽に調理出来るようにもなりました。
味噌を使った鍋料理として有名なのは、広島の「土手鍋」
鍋のまわりに味噌を塗った形から名付けたとの説が一般的ですが、もうひとつのいわれもあるそう。安芸の矢野町にすむ<土手吉助>なるカキの行商人が、大阪にてカキを使った鍋物を作ったところ、好評を博しその名をとったのが始まりとの事。どちらにしても、あまり火を通しすぎずカキと味噌の風味をいかした食べ方を伝えた先人に、ありがたさを感じつつ大切にしたい鍋料理。
鍋料理の話を書いた北大路魯山人は
“上方では「楽しみなべ」ともいっている。なぜ「楽しみなべ」なのかといえば、いろいろな材料がちらちら目について、大皿に盛られたありさまが、はなやかで、あれを食べよう、これを食べようと思いめぐらして楽しみだからである。”
と紹介。
美味しい味を探求して新しい味が生まれる、食へのどん欲さは日本人ならではと感じます。好奇心旺盛に各国の料理を取り込んでいく鍋料理は、他国の文化を取り込み、自分たちに合うよう変化させ、集う仲間と和気あいあいと昇華させていく私たちの姿のようです。