香川のおいしさ詰め込んで

さわやかな秋空と雨模様が交互に訪れています。
今年は台風が何度も到来、荒れた天気に気を揉むことも多かった所為か、おだやかな天候がとても有り難く感じますね。

季節の訪れとともに、食品店での食材も秋の仕様になってきました。
新米をはじめ、さつまいもや栗、ぶどうなど野菜や果物がたくさん並び、格別な味を見た目でも感じることができます。

また魚介でも、夏から秋に旬をむかえる魚に変化してきています。
オリーブハマチなど、これから脂の乗る香川県特産の養殖魚とともに、穴子や舌平目など全国的によく知られたもの、セトダイやベラ、小エビなど沿岸性の地魚など、バラエティ豊富に海の幸が店先にならんでいきます。

瀬戸内海に面した香川県は、目の前が豊かな漁場。
そのため、海からあがった魚がすばやく市場などに届き、家庭はもちろん料理店でも鮮度のよい海の幸が味わえる場所となっています。

ここ高松でも、こだわりをもって魚料理を提供される店舗が数多く営業されています。
直接市場に買い付けに行く日本料理店をはじめ、昔からある魚行商「いただきさん」のお店、地元の酒と魚がともに楽しめる所など、個性もさまざま。郷土らしい料理の他にもアイデアある食べ方があったりと、食品を扱うものとして驚き学べることもあり、いい時間を過ごせるお店が多いなと思います。

そのなかでも嬉しいことに、弊社の味噌を使っていただいているお店があります。

ひとつは「寿司処 恵介」さん。
美味しさにいつもうならせられるお寿司や一品料理がいただけます。そこに弊社の桜味噌を使った味噌汁を添えて出されています。常連の方が多いのも頷ける寿司の名店です。
もう一軒は、「お食事処 淡海 屋島店」さん。
天ぷらや地魚の煮付けなどがセットになった定食が、世代を問わず人気のお店。4種類の味噌を使い分けながら、味噌焼きなど様々な料理に使われています。

どちらも長くお味噌をご愛顧いただいている、地域に愛された料理店。
素材を吟味し確かな技で、味わい深いものを提供されています。

瀬戸内海の恵みを同じ風土で造られた調味料が、引き立てられるのはとても有り難いこと。ぜひ、香川のおいしさがぎゅっと詰まった味を堪能してみてください。

白肌なめらか発酵のちから

暑さが戻ってきつつ、夜になれば涼しさを感じる様になりました。
今年は色々な地域にとって、厳しいものになってしまいましたね。
大阪などの関西地域と北海道の皆さまが、早く安心な日常が取り戻せますようお祈り申し上げます。

香川では日差しもまだ強く感じるいま、特に女性が気になるのは日焼けではないでしょうか。車の運転でも、気がつけば右の腕から手が日焼けをしていた事もありますね。

日光の紫外線が皮膚に入り込むことで、色素沈着や弾力を失い様々なダメージを負う日焼け。
この肌へのダメージを、味噌が軽減することはご存知でしょうか。

麹と大豆が味噌への発酵する過程でできる遊離リノール酸は、色素細胞のなかでメラニンの合成を抑制するのに効果的で、肌が日に浴びても日焼けになるのを防ぎ、シミが出来にくくします。
また、味噌に含まれる食物酵素はさまざまにありますが、おもに必要な栄養の消化吸収を助け、すでにある体内酵素を新陳代謝に促してくれます。代謝が高くなれば免疫力も向上し、体調が整いやすく肌や髪の調子もよくなっていきます。

味噌を食べることで自身の回復していく力を集中させて、本来もつ健康的な身体を引き出していく。この動きは、食材がもつ良さを引き出す調味料の味噌の役割と同じようで、面白いですね。

また味噌を作る際の、素材の良さを活かす作業にも似ているように思います。

商品のひとつ白味噌は、米麹と塩、そして大豆が主な材料。
白味噌を作る作業のなかで、大豆は何度も水を替え茹で直します。これは大豆のもつ色素と灰汁を抜いてく作業。茹で上がった大豆は白くふっくらと仕上がり、なめらかな白味噌となっていきます。

白味噌に必要な繰り返す茹で直し作業は、美味しさを目にも感じる白さのため。
夏の疲れがでやすいこの時期、ぜひ毎日の食事のなかで味噌を摂りながら、美容と健康の維持に努めてみてはいかがですか。

塩と大豆のエナジードリンク

ふたつの台風が通り過ぎていき、また暑い夏が訪れています。
今年は例年になく猛暑が続き、外出先でお客様にお会いすれば「暑いですね」からの挨拶になってしまいます。

このうだるような暑さのなか、5日から甲子園にて高校野球全国大会が始まります。今回は100回記念とのこと。県大会では最後まで粘り強い試合をした香川代表の丸亀城西高等学校が、どこまで活躍されるか今から楽しみです。

炎天下での試合では、緊張感あふれる選手や応援される方の熱気にあふれています。暑さのなか、心配なのは毎日のニュースにもあがる熱中症。
照り返しの強いなか、止まらない発汗とともに体内の塩分も損なわれていきます。その際の水分補給には、塩分も共に補給することが熱中症予防には欠かせません。

そこでおすすめしたいのは、朝一杯のお味噌汁。

味噌汁の塩分量は、市販のスポーツドリンクと同じ位といわれ、失われた塩分を適切な量を取り入れることができます。また高血圧など塩分摂取による弊害も、近年の研究では大豆と共に摂ることで血圧を抑制する効果があるそうで、大豆が味噌に変化する発酵により、体内へもすばやく吸収されます。

体内に必要な塩と良質なタンパク質である大豆がお互いを補いあう、味噌。
そこに出汁やわかめを加えることでミネラルも摂取でき、優秀なプロティンの一種になります。3年ぶりに出場を果たす日大三高の選手も、合宿の朝には味噌汁を1杯食べて練習を始めるそうで、味噌汁がハードな練習に耐えうる体格を支えています。

白球を追いかける選手や、スタンドで応援する生徒やご家族、文科系の運動部といわれるブラスバンドの皆さんなど、今この瞬間に懸けることで、決勝への頂上に近づいていっています。どのお顔も一生懸命な表情で、見ているこちらもいつのまにか、手に汗握る観戦になっています。
この熱さも夏ならでは。
賢く熱中症を退けながら、季節の風物詩を楽しみたいですね。

五菜三根あつめ汁

先月からつづく猛暑とスコールのような梅雨に、天候の極端な激しさを感じます。

その激しさを気持ち的にも感じるのは、今熱く応援しているロシアでのワールドカップ。波乱含みの予選が終わり、これからの本戦はそれぞれの強豪国と戦っていく中、西野監督が率いる日本チームがどんな活躍を見せるのか期待しています。

世界の様々なチームで活躍する選手が、お互いを補いながら一つのチームとなって戦う姿は、観ていて楽しいものがあります。このいいものを一つに纏めたという括りとして、伝統ある味噌汁が各地に伝わっているのはご存知でしょうか。

東北地方のほか静岡などにも伝わる『あつめ汁』は、ごぼうや大根、里いもに干したあわびや魚など具沢山の味噌汁。集めてきた色々な食材をふんだんに使い、豪華な椀ものとなりました。

戦国時代では、上杉謙信が出陣の前に部下とともに食べたと言い伝えられています。また織田信長を迎えるお膳や、豊臣秀吉をもてなす前田利家の自宅でもあつめ汁を振る舞ったとの記述も残っています。

江戸幕府を開いた徳川家康は、葉ものの五種と根菜の三種を使った、野菜たっぷりの「五菜三根の味噌汁」を好んで食べました。麦ご飯とともに伝えられるのは、健康食そのもの。このことが当時の平均寿命よりもはるかに長生きだった秘訣かもしれませんね。

いま現在では、主に東北地方で5月5日の端午の節句に邪気を払うものとして食べる風習があります。静岡ではお盆の際にお供えし、家族で食する料理のひとつとなっています。

具材がいっぱいのあつめ汁と、日常にふだん食べる味噌汁は、いわばハレとケにあたるもの。
歴代の将軍も好んだといわれる味噌汁が、最後の将軍 徳川慶喜が移り住んだ静岡に、祭礼の食事として伝わっているのもなにかの縁なのではと、日本のなかでも特にサッカーの盛んな静岡とあわせ汁の歴史に、想像をめぐらすのも楽しいものです。

よきもの忍ばせて

初夏の日差しと肌寒い雨が、交互に訪れています。
今年の梅雨は例年よりは早くやってきながら、少し恥ずかしがり屋のようです。

仕事柄、立ち寄るスーパーなど食料品店では、春から夏に旬を迎える食料品が彩りをそえています。先日までならんでいた筍から、夏野菜のゴーヤに変わっていく様は、季節の移り変わりの早さを感じますね。

鮮魚売り場でもアユやトビウオ、県魚のサワラなど、夏先に美味しい魚介が並んでいます。弊社も旬の時期にあわせて、香川の郷土料理「サワラの味噌漬け」に適した『みそ漬け用味噌』を業務用に出荷しています。

この味噌漬け、全国にはさまざまなものが伝わっています。

サワラの味噌漬けと同じく、時期物の魚を使った「西京漬け」は、京都一円の郷土料理。海から遠い土地に運んできた魚を、白味噌の西京味噌に漬け込み、日持ちと美味しさを引き出した一品になっています。

またお隣の近江では、「近江牛の味噌漬け」が有名。将軍家の献上品「養老の秘薬」ともなりました。幕末の桜田門の変につながる逸話もあり、その味の良さを伺わせます。

野菜を使ったものでは、岩手の主に花巻地方で作られている「金婚漬け」があります。

瓜のワタを筒状にくり抜き、中に昆布で巻いた大根や人参などを詰めて、味噌漬けにしたもの。
1月から1年以上漬ける保存食で、なまこ(きんこ)に似ているからとも、漬かれば漬かるほど味が良くなるところから、金婚式にかけて名付けられたともいわれています。輪切りに切れば、人参など中に詰めた野菜が色を添えた、名前通りおめでたい漬け物です。

金婚漬けに似た漬け物が、三重にもあります。

「養肝漬け(ようかんづけ)」といい、こちらは瓜のなかに刻んだ大根やキュウリにショウガや紫蘇の実などを昆布で巻いたもの。骨太な名前なのは、伊賀上野の初代藩主、藤堂高虎が陣中食として貯蔵を推進し、これで武士の肝を養うとしたところから名付けられました。

一説には忍者の携帯食だったとのこと。
戦国時代には、伝統食の基礎になったものや、面白い食べ方のものなどがありますが、養肝漬けもそのひとつ。瓜のなかに詰めて味噌漬けしておけば、中の野菜の風味を損なわせることなく、長期にかけて保存が可能となります。食べる直前にスライスすれば気軽に食べることが出来る、手軽な携帯食でもありますね。

漬け込むことで食材の美味しさを引き出す味噌漬けは、昔の人の知恵が詰まった食文化。ぜひ、変化楽しい味噌漬けを味わってみてくださいね。