瀬戸内をめぐる交流と味

いま開催されている、香川の島々などをめぐるアートの祭典、瀬戸内国際芸術祭。
面白いもの、ふしぎなもの、もちろん美しいものなど、色々なアートを見ながら、それぞれに特徴のある島の情景を感じられるイベントとなっています。なかでも島をわたる船の旅は、風と海のにおいのなかを進み、車や電車とはちがった楽しさがあります。
一つの島に立つと、思いのほか近くに他の島が見えるので、次はあちらの島に行ってみようかなと興味がつきません。

昔から瀬戸内は、海運の要所。
源平合戦や西廻海運など歴史をひも解いてみても、内海に船を走らせて様々な交流があっただろうなと思いを馳せます。

その一部の交流のなかに、味噌を使った料理があるのをご存知でしょうか。

一説には沖縄の鶏飯からきたともいわれる、九州は宮崎の郷土料理「冷や汁」
焼いた魚の身をほぐし、野菜や麦飯にゴマ味噌をまぜた出汁とあわせた、暑い日にうれしい料理です。作り方は家庭によって異なるそうですが、特徴的なのはすり鉢ですったゴマと味噌を、火であぶってあること。香ばしさをひきだしだして、深い味わいになります。

この「冷や汁」に似た料理が全国的にあるそうで、香川県では「讃岐さつま」とよばれ西讃地域に残っています。
名前のとおり「さつま」鹿児島県でも作られていたそうで、お隣の愛媛県宇和島では「伊予さつま」、岡山県や広島でも「さつま味噌」「さつま汁」と色々な地域で呼ばれています。伝承は定かでなないそうですが、九州から海をわたって瀬戸内に面した各土地に伝わっていったのではないかと思われます。

香川の「讃岐さつま」は、じっくり焼いた魚の骨や頭でとった出汁でつくります。祝い事のお膳にのる鯛などをつかうことが多いのは、瀬戸内ならでは。また味噌を白味噌合わせだったり、小豆島のそうめん、うどんにもかけることも香川での特徴で美味しそうです。

今回の瀬戸内国際芸術祭は「食プロジェクト」も展開され、島や会場ではその土地ならではの恵みが食べられるとのこと。人々が航路をめぐりながら交り合い、土地の文化を豊かにしていくことは今も昔も変わらないですね。

夏の熱中症対策に

今年も暑い夏がやってきました。
気温が35度以上は気象庁にて「猛暑」と名付けられていますが、文字を見るだけでも暑さが伝わってきそうですね。

気温上昇で気になることは体調管理。
そのなかでも「熱中症」は、毎年お年寄りや小さなお子さんがかかりやすい症状で身近な事柄となっています。

熱中症とは、気温の高さや多湿な環境などで発汗による体温調整機能がうまく働かずに、体内の熱を発散させることが出来ないために起こります。夏の疲れが溜まりやすくなる8月以降も、ますます予防が欠かせなくなっています。

熱中症の予防には、炎天下など暑い場所を出来るだけ避けること、そして水分補給がかかせません。
夏の水分補給には、ジュースや炭酸飲料などもありますが、おすすめは麦茶。そして、お味噌汁も夏の体調管理にすぐれ物です。

麦茶は、体内の熱を取り除いたり血流をよくする効果があります。子どもの頃から夏には冷蔵庫に入っている、昔から親しまれている健康飲料ですね。

味噌汁は、体外に失ったミネラルが補えます。
先日facebookにて上げたかぼちゃの味噌汁には、汗とともに失うナトリウムやカリウムも豊富に含まれているので、夏の味噌汁に特におすすめ。

味噌といえば、塩分が気になる方もおられると思いますが、現在の研究の結果、味噌汁には高血圧を防ぐ作用があることがわかってきました。また発酵食品である味噌が、腸内環境のバランスをとってくれる効果もあり、冷たい食品をとるなどで不調になりやすい夏の体調を内側から整えてくれます。

朝の味噌汁は、胃腸の働きを促し身体を目覚め、夜の味噌汁はアミノ酸が日中に活動したことで傷ついた筋線維を修復する作用があります。
活動的になる夏には、昔から親しまれていた食材で身体の内から熱中症予防をしていきましょう。

白味噌ばなし

弊社で主要な味噌のひとつ、白味噌。
この白味噌といえば関西や香川・広島などが産地ですが、有名なところではやはり発祥の地 京都だと思います。

公家文化が花開いた京都。
ゆたかな文化は日本料理にも洗練された形に残り、伝えられてきました。

冷蔵庫などない時代、食品の保存は今よりずっと大切な課題だったと思われますが、 白味噌は米と麹を贅沢に使ったゆえに保存期間がほかの味噌より短い、当時としては贅沢なお味噌。
甘味などあまりない時代には、白味噌の甘みは貴重だったのではないでしょうか。
今宮神社参道の「あぶり餅」やお正月菓子「はなびら餅」などの京都のお菓子にも白味噌が使われ、そのなごりを伝えています。

ひるがえって香川といえば、「てっぱい」や「ちしゃもみ」などの白味噌を使った郷土料理があります。

なかでも有名なのが、正月にいただく「あん餅雑煮」。
主役はあん餅ですが、白味噌の塩分があんの甘さをしっかりと感じて、ハレの日らしさを感じるのは香川県民だからでしょうか。
香川三白といわれ砂糖の産地に由来した雑煮。京都から伝わった白味噌に、香川の恵みが加えられて、特別に大きな一椀と感じられます。最近では、あん餅雑煮を出す飲食店などもあり、県外の方にも召し上がって頂きやすくなっています。

最後にこちらも香川の白味噌料理。
香川県に多数あるうどん屋には、注文したうどんが出来上がるあいだに食べる「おでん」がかかせません。このおでんには、白味噌に辛子が入った辛子味噌が定番。
大根やすじ肉はもちろん、一般的にいうさつま揚げのような「てんぷら」や冬限定の「いいだこ」のおでんなど、香川独特のおでん種も楽しいところ。甘さを好む香川の食文化に根付いたお味噌です。
うどん屋めぐりの際はぜひ、このちいさな白味噌文化も味わいください。

「毎日のおみそ汁」始まります!

最近、発酵食品を取り上げる雑誌やTV番組を見かけるようになりました。
酵母などの微生物等の働きを利用した栄養価と風味、保存に優れた発酵食品。
納豆やヨーグルトはもちろん、ひと昔前にはなかった塩麹やひっそりとおかれていた甘酒が、スーパーマーケットでも当たり前に見られるようになり、注目されているのを感じます。

私どもの作る味噌も、日本の伝統食も麹を素に作られた発酵食のひとつ。
麹を由来の発酵酵素の効果には、血圧を正常に保ち消化の働きを助け、発がん性物質を体外へ排出することもわかってきました。

毎日摂ることが大切ですが、忙しい現在の生活のなかではなかなか取りづらいこともありますよね。

これまで弊社のFacebookでは様々な味噌レシピをあげてきましたが、味噌を使ったもっとも身近な日常食のひとつ、おみそ汁で手軽に発酵食品を取っていただけたらと思い、隔週にておみそ汁レシピ『毎日のおみそ汁』をFacebook にてUPしていきます。

季節の野菜をつかい、白赤などの味噌とさまざまな器でアレンジしたおみそ汁を予定しています。毎日のおみそ汁に色々なバリエーションを広げてみませんか。

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春の味わい

あたたかな気候で日中過ごしやすくなりました。
桜並木など春の気配がいろいろな所で感じられて、どこかへ出かけたくなりますね。

この時期に楽しみなのは、春の食べ物。
そら豆やタケノコ、徳島のわかめ。
また桜餅やよもぎ餅などの甘味もうれしい味。
最近ではスーパーのお菓子売り場などで、桜味のスイーツをたくさん見かけて楽しい気持ちになります。
桜の味は、桜の花を塩漬けにしたものを碗に浮かべた、お祝いの時に飲まれる桜湯が由来。
四季の移ろいを楽しむ日本文化は、おもてなしや一期一会など今出会える事柄を大切に味わうという食文化につながっていると思います。

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今しか味わえない春の食べ物で欠かせないものは、山菜もそうですね。
わらび、ふきのとう、たらの芽、よもぎ、つくし
どれも新芽を楽しむもので、形も可愛らしいものが多いような気がします。
今も山菜採りに出かけられる方もおられるのではないでしょうか。

独特の苦みがあり、あく取りなど手間のかかるものが多い山菜ですが、冬にゆっくりした動きになる胃腸を活性化する効果があります。
山菜ご飯はもちろん、ふきのとうの天ぷらなど山菜の美味しさを活かしたメニューもたくさんありますね。
味噌を使ったもので有名なのが「ふきのとう味噌」。味噌の甘みが独特の苦みを引き立てます。
また「つくし味噌」もおすすめ。
袴を取ってサッと湯がいたつくしは、ほのかなピンク色で春らしい見た目になります。
一口大に切ったつくしを油でいためて、砂糖・酒・みりん・味噌などで炒め合わせれば出来上がり。
山菜採りは少しハードルが高いという方は最近、農産物直売所などでも販売されているようですので、ぜひお試しください。

出掛けた先で出会う植物や春の味覚は一期一会。
今年は山菜でも春を感じてみませんか。

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